柔らかな羽

禁転載

夏はあまり好きではない。
うだるような熱気、振り払えぬ湿度。――――それと共に、姉のいなくなってしまったあの頃のことを思い出すからだ。
あの夏、彼女は消えた姉を探して奔走した。他の家族と共に姉の私物を片付け、何があったかを探ろうとした。
まるで無力感と焦燥に苛まれた記憶。それは、姉が無事であると分かった後も、未だ消えてはいない。



キーボードを叩く音は自分でも小気味がいいほど軽快だ。
澪は考えていた箇所までをすっかりテキストファイルに打ち込んでしまうと、モニタから目を離して大きく伸びをした。
ずっとパソコンに向かっていたせいか違和感が漂う目元を押さえる。
「よし、こんな感じかな」
課題のレポート。大学に入って二度目の夏休みに宿題の一つを終わらせた彼女は、ファイルを保存すると立ち上がった。
今はまだ夏休み半ばであるが、五つあるレポートのうちの四つが既に終わっている。これはかなり順調だと言っていいだろう。
この調子なら九月以降はしばらく羽を伸ばせるかもしれない。
立ったまま身を屈め、スケジュールファイルを開きかけた澪は、しかし鳴り響くチャイムの音に気づいて顔を上げた。
「はーい!」
この時間は母がいただろうか。レポートに集中していたせいかいまいち自信がない。
だとしたら自分で出た方が確実だろう。彼女は部屋を出て階段を駆け下りると玄関に向かった。チェーンをかけたままドアを開ける。
そしてそこで、動きを止めた。
「…………え?」
「ただいま。久しぶり、澪」
長く伸びた髪。穏やかな笑顔。忘れられるはずもない顔立ち。
―――― 呆然とする彼女の前には、何があったのか三年前に失踪した姉が、少し照れくさそうに笑って立っていたのである。



「お、おかーさん! 早く帰ってきて! ……え? だから、本当! 雫姉が来てるんだってば!」
母親はやはり買い物に出ていたらしい。
澪はあわただしく母の携帯に電話をすると、同様のことを父や姉に対しても繰り返した。
その間雫は困ったような顔をしながら居間のあちこちを懐かしそうな目で見ている。
まるで幻にも思えてしまうあやふやな存在感。だが、彼女が現実に今、この場にいることは確かだった。
受話器を戻した澪は改めて姉を振り返る。
「ど、どうやって戻ってきたの?」
「送ってもらったんだ。それが出来る人が訪ねてきてくれたから」
久しぶりの姉は、言葉を話す際に少し戸惑っているようにも見えた。
発音の一つ一つを確かめるようにして話すのは久しぶりに日本語を口にするからだろう。
そんなところに澪は離れてしまった距離を感じて淋しくなる。
「……いつまでいられるの?」
「明後日」
きっと、完全に戻ってきてくれたわけではない。
姉の態度からそう感じ取った澪は予想通りの答に顔を曇らせた。
「送ってきてもらった」とはつまりそういうことなのだ。「また、迎えにくる」というだけの――――
翳の差した澪の顔に、雫は苦笑すると「ごめんね」と呟いて自分よりも背の高い妹を抱き締める。
半分は知らない大人になってしまったかのような姉の体からはその時、澪の知らない花の香りがしたのだった。



「何が食べたい?」との問いに、雫は迷わず「醤油を使った料理」と即答した。
その為、水瀬家の食卓は夏にもかかわらずすき焼き鍋が置かれている。立ち上る醤油と肉の香りに、彼女は目を輝かせた。
「すっごくいい匂い! 醤油いいよね! ほんと実感する!」
「……そ、そう?」
箸を握って力説されても、和食に慣れている澪にはよく分からない。
母親はまだ涙の滲む目をこすりながら「たっぷり食べなさい」と刺身の盛られた皿を娘の前へ押しやった。
「向こうに醤油ってないの? 雫姉」
「ないない。色々ないよ。あるものもあるけど。基本的にはパン食だし」
「はー……なんか想像つかないな」
「うん。慣れるとそれが普通なんだけどね」
醤油の染み込んだ葱を幸せそうに頬張る様は、長い旅から帰ってきた人間そのものだ。
まったく日に焼いていないのか、以前よりも白くなった気がする姉の指先を澪は見つめる。
今は箸を持っているその指は普段何をしているのか。日記の中で見た姉の姿を瞬間思い起こした。
澪が束の間黙り込むと、口数の少ない父親は食卓を立って台所へ入っていく。
すぐに戻ってきた父は雫の前に小さな盃を置くと、驚く娘の視線にほろ苦く笑ってみせた。
「お前も二十歳を過ぎたな。……折角だから飲みなさい」
普段父以外は飲まない日本酒。
それを目の前に出された雫は箸を置くと、まるでとても大切なものを貰ったかのように両手で取り上げた。
目上の人間に対する綺麗な所作で「頂きます」と呟くと口をつける。
父はそんな娘の姿に照れくさそうに微笑むと、それ以上の言葉が見つからないかのように、また箸を取った。



その晩雫は、澪の部屋に布団を敷いて寝ることになった。
急に帰ってきた為、雫の部屋は風が通っていなかったからというのがその理由だが、むしろ姉妹で一緒に寝たかったという理由の方が大きいだろう。 海までもが布団を持ってきて七畳の部屋ぎりぎりに寝る場所を作ると、自然と会話は遠い場所から帰って来た雫への質問攻めになる。
「雫ちゃん、あの写真に一緒に写ってた人って恋人?」
「うわあああああああああああ」
さらりと姉が問うと、雫は頭を抱えて布団の上を転がっていった。壁にぶつかって止まったところで、海はもう一度同じことを聞く。
「ね、恋人? 雫ちゃん面食い?」
「どちらも違うというか何というか……」
さすがにこの手のことは両親の前では聞きづらい。
が、真っ赤になっている表情からしてあながち外れているわけでもないのだろう。澪が冷静にそう判断した時、頭を抱えたままの雫はぽつりと答えた。
「け、結婚してます……」
「―――― はあああああああああああああああああ!?」
「雫ちゃんと澪ちゃんってこういう反応似てるよね」
「何それ! 何で!? 経済的理由!?」
「ちが……」
「雫ちゃんのドレス姿見たかったなぁ」
「とりあえず詳細教えて! 全部! 最初から!」
「お、落ち着いて……澪」

二階から聞こえてくる悲鳴や怒声。
娘たちが長じてから、ここ十年聞こえることのなかった騒がしさに階下にいた両親は顔を見合わせる。
だが彼らは苦笑して済ますと「静かにしなさい」と怒りに上がることはなかった。
こうして雫が帰ってきた最初の日の夜は、あっという間にふけていったのである。






翌日、澪は雫と一緒に街に買い物に行くことになった。
学生は夏休みとは言え父と姉は仕事が休めず、母は昼から夕食の下ごしらえをしたいということで、二人だけで出かけることになったのだ。
昨晩外が白み始めるまで姉を質問攻めにした澪は、眠い目を擦りながら隣を行く雫を睨んだ。
「もう今日は徹底的に買い物に付き合ってもらうからね!」
「はい。お姉ちゃんに何でもねだるといいよ」
「ねだるって。雫姉お金持ってるの?」
雫が返してきたバッグには財布も入っていた。そこには多くないが彼女のお金も入れられたままだったのだ。
まさかファンタジーな世界に日本紙幣もあるまいと思った澪は、雫が苦笑しながら開けて見せた財布を覗き込んで絶句した。
「ど、どうしたの、この大金!」
「うん。うちに来る前に貴金属換金してきた。姫が持ってけって色々くれたから……」
「うっわぁ……」
王族に仕えているというのは本当に本当らしい。
普通の大学生ならば半年くらいはバイトに精を出さなければ貯められなそうな金額に澪は唖然としたが、我に返ると姉の手を強く引く。
「私のものより雫姉のもの! 滅多に帰って来られないんだから! 服買お、服!」
「えええええ」
日記の中で雫が「元の世界にはもっと可愛い服がある」とぼやいていたことを澪は覚えていた。
現に家に帰って来た時も今も、雫が着ているのはシンプルなワンピースで二十一歳の女性としては地味な部類に入る。
もっと似合うものを自分が選ぶ! と妙な競争意識を燃やすと澪は姉を自分のよく行く店に引っ張って行った。
覚えている限りの記憶を掘り起こして雫の好みそうな服を選ぶ。
動きやすくカジュアルで、可愛らしいアクセントがあるもの。
深い紅のミニスカートをはじめ、いくつかの服を選び出した澪は、それを姉のところへと持っていった。
別の服を見ていた雫は妹に肩を叩かれ振り返る。
「雫姉、これ着てみてよ!」
「うわっ、スカート短っ!」
「普通だよ! 夏なのに長かったら動きにくいでしょ」
「もう慣れちゃったからなぁ……」
言いながらも雫は試着室に入っていった。その間、澪は姉の見ていた服を確かめて沈黙する。
以前はほとんど着ることのなかった飾り気の少ない落ち着いた色の服。
それが雫に似合わないというわけではないが、澪にとっては「何か違う」と思うのもまた確かだ。
たった三年離れて暮らしていた。その三年は姉の好みを細かいところまで変えてしまうほど長い期間だったのだろうか。
試着室から出てきた雫は膝丈よりも大分短いスカートをしきりに気にして「落ち着かない」と苦笑する。
それを「似合うって!」と押し切った澪は、更に何着かの服を選んで会計を済ますと、姉を連れて店を出たのだった。



「大体結婚しているって言っても指輪もしてないじゃん。くれなかったの?」
「あ、違う違う。そういう習慣がないんだよ。戸籍もしっかり管理されてるわけじゃないし」
夏の炎天下を避けるため喫茶店に入った二人は、窓際の席に座るとアイスティーとケーキをそれぞれ頼んだ。
買ったばかりの服を詰めた袋をいくつか隣に置いてしまうと、雫は笑いながら妹に向かって手を振る。
「だから……そんな変な人じゃないって言ってるのに」
「それはよく分かってるけどね!」
余計なところをつついて、また昨晩のように惚気話を聞かされても困るのだ。
澪は強引に話題を打ち切るとケーキにフォークを突きこんだ。やり場のない苛立たしさを甘いものにぶつける。
「で、どうすんの? お父さんたちには黙ってるの?」
「言うよ。今夜」
チョコレートケーキを食べながらの姉の言葉に澪は自分のことのように心配になった。
両親がどういう反応を示すのか、まったく想像できない。自分が間に入った方がいいのではないかとさえ思えてくる。
澪は硝子越しに往来を眺める姉をそっと窺った。

昔から、姉の海や澪に接触してくる男子は多かったが、雫にはほとんどそういう相手がいなかった。
だがそれは雫が他の二人と比べてまったく魅力がないからというわけではないだろう。
それぞれの意味で派手に人目を引く二人に興味を持つ人間とは別に、単に雫を憎からず思う人間はあからさまにそれを示さなかっただけなのだ。
好意という程確かではない感情を、相手への尊重として姉に示してきた人間が、今までにも何人かいたことを澪は知っている。
友人よりも一歩離れた付き合い。
それは雫自身には気づかれていないのだろうが、やがて大人になれば誠実な好意にもなり得る、そんな種の慎ましやかなものだったのだ。
だから澪はいつか、姉に穏やかな笑顔の恋人を紹介される―――― そんな未来をも想像していた。
そしてそれはさほど遠くない未来ではないのだろうかとも。
「なのに何故魔法使いと結婚……」
「何か言った? 澪」
「なんでもないですー」
姉の話を聞いていれば嫌でも悪い人間ではないということは分かる。その人間がいなければ姉はとっくに死んでいたのだということも。
ただやはり、気に食わないものは仕方ないだろう。
澪はふてくされて頬杖をつきかけ……だがその手を急に引かれ、窓の方によろめいた。
同時に「ご、ごめんなさい!」という見知らぬ女の声が聞こえる。
「平気です。ぶつかりませんでしたから」
澪が目を丸くして顔を上げると、アルバイトらしい高校生の少女がしきりに頭を下げていた。
どうやら隣のテーブルに気を取られた彼女が、皿を積んだ盆を澪の頭にぶつけそうになってしまったらしい。
そこを雫が察して避けさせたのだ。店員の少女がいなくなると澪は丸くなった目のまま姉を見た。
「あ、ありがとう……よく気づいたね」
「宮廷にいると色々あるから。自分や相手の背後とか、自然と気にするようになっちゃったかな」
少しの自嘲を浮かべて雫は微笑む。
その意味するところを理解した澪は「やっぱり気に食わない」という表情で黙り込むとフォークをイチゴに突き刺した。



姉と一緒にいて分かることは、雫はこの三年で大きく変わったということだ。
細かいところから目立つところまで、同じ人間でありながらまるで羽化をしたかのように変わってしまった。
それが嫌だというわけではない。変わらぬ部分も勿論あるのだ。……ただ距離を感じて少し淋しい。
澪は姉の戻っていない布団を見て溜息をつく。
夕食を終えた今、雫は両親の部屋に行っている。そこで結婚のことを含め何かを話しているのだろう。
「ついて行こうか」とも言ってみたが「大丈夫だよ」と返されたのだ。ならば澪に出来ることは待つことしかない。
二時間経っても一向に帰って来ない姉に澪はもう一つ溜息をつく。
「雫姉って向こうで幸せなのかなぁ」
「どう見てもそう見えるけど。澪ちゃんにはそう見えない?」
雫の変化を憂うことなく、ただ嬉しそうにしている長姉。
海の問いに答えたくなかった彼女は、そのまま何も言わずに目を閉じた。
そうしていつの間にか眠ってしまったらしく―――― 朝になって彼女は、少し目を腫らした雫に起こされると「今日のお昼は私が作るよ」と言われたのである。






雫に迎えが来る最後の日は、父も姉も仕事を休んで食卓についた。
言葉少なに雫の作る食事を待ってテーブルに集まる。
彼女が出してきた料理は、和食でも洋食でもどちらでもなかった。
材料だけは同じで、遠い異国の味がする料理。
「どうやって作ったの?」と澪が聞くと、雫は「スパイスだけ持ってきたんだ」と笑った。
つまりはこれが、今の雫の当たり前の味なのだろう。
野菜のスープや鶏肉の香草焼きをはじめ、何処か優しい味のする料理を澪は残さず食べる。
そうして束の間の食事が終わってしまうと……別れの時はあっという間にやってきたのだった。



「これも持っていきなさい。旦那と、お世話になっているお姫さんに渡すように」
玄関先に立つ雫に父親が差し出したのは桐の箱を二つ紐でくくり紙袋にいれたものだ。
箱書きからして日本酒である。澪は「お父さん……」と呆れた声を上げたが、雫は嬉しそうにそれを受け取った。
続いて母親が「これもいるでしょ」と醤油や味噌を詰めた箱を玄関に置く。
買った服の袋を含め、既に手一杯の雫はダンボール箱を見て笑った。
「何か学生会館に引っ越した時を思い出すよ」
「それはいいけど、雫姉こんなに持ってけるの? 見るからに重そうだけど」
「大丈夫。転移で送ってもらえるから」
何度聞いても魔法などとは胡散臭いとしか感想が持てない。
澪は半眼になると、雫に向かって「はい」と紙封筒を差し出した。
「これ私から。色々調べたから持ってきなよ」
「うん? ありがとう」
封筒の中には雫が一番知りたがっていたチョコレートの作り方が入っている。
向こうについてからそれを読んで姉がどういう顔をするのか、澪は想像してにやけそうになる頬を押さえた。
海が写真のアルバムを渡している間に玄関のドアが叩かれる。
「あれ、チャイムあるのに」
「あ、多分お迎えだ。チャイム知らないんだよ」
雫は言いながらドアを開けた。
そしてそこに立っていた女を見て―――― 澪は言葉を失くす。
それは家族の全員が同様だったらしい。ややあって澪はようやく口を開いた。
「………………すごい美人」
「うん! 期待した通りの反応ありがとう!」



異世界の魔法使いだという女は雫の通訳を得て挨拶をすると、荷物を玄関の外に運び出した。
雫と何言か会話を交わすと、聞き覚えのない言語で呪文を唱え始める。
その人間離れした美貌と異国の言葉に、澪は本当にこれが別れの時なのだと実感した。
姉はまた、ずっと遠くに行ってしまう。電話も出来ない、いつ帰ってこられるかも分からない場所へ――――

「お、お姉ちゃ……」
「みんな、ありがとう」
雫は家族全員に向かって深く頭を下げる。
小さな体。けれどそこにもっと大きなものが背負われている気がして澪は口を噤んだ。
顔を上げた雫は涙の滲む目で微笑む。
「ごめん、みんな。ごめん。ありがとう。…………私、向こうに行くね」

『愛されていた』と、その言葉には手紙にも日記にも何度も出てきた。
家族に愛されていた。だからこそ、自分は真っ直ぐに前を向けるのだと。
けれどそれは違う。そんなことで姉を支えられるなら、いつでも、何度でも言うだろう。
何処に在っても変わることなく ―――― 「愛している」と。



空間に歪みが生まれる。
気圧が変わるような違和感。
魔法使いの女の前に、水で作った鏡のような穴が現れる。
女は息を飲む彼らに向かってもう一度頭を下げると指を弾いた。重いはずの荷物が音もなく浮き上がり穴の向こうに吸い込まれていく。
そして伸ばされた手。女の手を雫はゆっくりと取った。「またいつでも戻ってきなさい」という母親の言葉に返事をせず微笑む。



これでお別れだ。
何も言えず、また動けずにいたのはその事実が飲み込めていなかったからだろう。
呆然としていた澪は海に肩を叩かれるとようやく我に返った。穴の中に消えていく姉に向かって指を伸ばす。
「お姉ちゃん……っ!」
指は、届かない。
言いたいことは言葉に出来ない。
消えてしまう最後の一瞬、雫は穏やかに笑って―――― そしてまた、この世界から姿を消した。











泣きはらした目。
明らかに熱を持っていることが分かる瞼を濡れタオルで押さえて部屋に戻った澪は、いつの間にかベッドの上に見慣れぬ袋が置いてあるのを見て首を傾げた。手に取ってみるとそれは、昨日姉と買い物にいった店の袋である。中にはいかにも澪が好みそうな何着かの服と共に、折りたたんだ手紙が入っていた。
広げてみるとそこには雫の字で「こういうのもたまには似合うと思うよ! 綺麗になったね、澪」と書かれている。
改めて服を見てみると、カジュアルな普段着の他にいかにも大人っぽいラインのワンピースが一着入っていた。
澪はそれを体に当て姿見を覗き込む。
鏡の中の自分は、持っている服のせいか普段よりも凛として見えた。
すぐ上の姉に似ていると、そう断言出来る姿。
自分の姿に驚いた澪は深く息を吐き出すと―――― その服を大事に壁に掛け、姉からの手紙をもう一度手に取ったのである。