コケシの旅 00

禁転載

荷物が多くないのは昔からであるが、それでもたまに整理をするとおかしなものが出てくる。
机の引き出しを整理していた雫はそんなものの一つ──── 小さなコケシを手に首を傾げた。
「あー、こんなのあったなあ」
大人が手を広げたのと同じくらいの高さのコケシは、彼女が小学校の頃みやげ物として貰ったものだ。
なんということはないコケシなのだが、中が空洞になっていて下の台座を捻ると筒状の手紙が出てくるということもあり、何だか秘密の文書を擁しているようで長く気に入っていた。
本来これは自宅の引き出しに仕舞われたっきりのものだったのだが、一度帰省した際にアルバムなどに混ざって持ち帰ってきてしまったらしい。雫はコケシの台座を捻り、何も書かれていない便箋を取り出すと眉を寄せた。
「うーん……あっても使わないしなぁ。でも捨てるのもなぁ」
何ということのない民芸品でもこの世界からすれば貴重なもの、かもしれない。
雫は手の中でくるくると細身のコケシを回すと、何となくそれをポケットにねじ込んだ。


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