ニケ君を動かせ! 09

禁転載

ニケ君への助言は「よし! 第3ラウンドに突入だ!」で決定しました。
―――― それではニケ君の対雫戦、最終ラウンドをお楽しみ下さい。



普段雫は一週間から二週間おきにオルティアを訪ねて来る。
つまりは次回もそれくらいにまた顔を合わせる、ということだろう。正確な日程まで聞いていないのでニケは知らない。
問題はファルサスの密偵だが、一体何処に潜んでいるのか。
少なくともニケがウィレットと話をしていた時、周囲には他に誰もいなかったのだが、よほど気配を消すに長けた人間がキスク城には潜んでいるのだろうか。
―――― そんなことを思いながらニケが毎日の仕事をこなしていた時。

「最近面白い噂を聞く」
彼の主君である女王が感情を込めない言葉を口にしたのは、ニケの部屋が綺麗になってから三日後のことだ。
いつも通りの執務室。どう答えていいか判断がつかず沈黙を守る彼にオルティアは言を続ける。
「女官たちの話だ。……まぁ内容は言わなくても分かっているであろうが。
 宮仕えの女たちは噂話が好きだ。その的になりたくなければよく考えた上で立ち回るのだな」
「……重々承知致しました」
オルティアはそれ以上注意しなかったが、さすがに言われなくとも分かる。
つまり、彼の今までのことは、女官たちの間で話題になっているということなのだろう。
ウィレットが友人にでも話したのか違うのか、噂の出所を探しても無駄に違いない。この状態ではたとえ密偵が意欲的でなくとも、彼の話はあらかた伝わってしまうということだろう。ニケは執務室を退出すると頭痛のするこめかみを押さえた。
「本当に俺の周りの女は……」
その呟きは同情を禁じえぬ苦いものであったという。



ウィレットはあれから彼の言いつけを守っているのか、進んで話しかけてくることはしない。
ただ彼を見かけると微笑んで会釈をする程度だ。そのささやかな線引きを悪くないとニケは思う。
だがある日、この行儀見習いの少女は周囲を気にしながらも彼を見つけて駆け寄ってきたのだ。
ウィレットはさりげなく他の人間がいないことを確認すると魔法士の男に囁いた。
「明日、ヴィヴィアさんがいらっしゃいますよ」



―――― さてニケ君は、どうすればいいんでしょうか。