Web小説カップルに30の質問

「陛下、今日の書類は質問集ですよ」
困惑した表情で執務室に入ってきたラザルは持っていた書類に目を落としている。
執務机に向かっていた王は顔を上げて眉を顰めた。
「質問集? 何だそれは」
「30の質問って書いてあります。陛下と王妃様に」
「私もですか」
部屋の隅で本を読んでいたティナーシャは、読んでいた本を閉じるとどこかに消してしまった。
オスカーはそれを見て頷く。
「じゃあ、さっさと質問しろ。30ならすぐだ」
「かしこまりました」

「まず第1問。お二人のお名前と小説の題名、カテゴリをどうぞ、だそうです」
「小説の題名? そういうメタなことを聞くな」
「1問目から突っ込んでると終わりませんよ。
 ティナーシャです。題名は”Unnamed Memory” カテゴリは恋愛ファンタジーです」
「……オスカーだ。恋愛ファンタジーだったのか? しょっちゅう流血しているが」
「突っ込まないでくださいよ」

「では第2問。お二人の知り合った経緯、元々の関係は?」
「どれだ」
「どれでしょうね。まぁ子供の時のことはさしひいて。
 魔女の塔で。魔女と達成者として、ということで」

「3問目。お二人の年の差、身長の差はどのくらいですか?」
「身長差は……これの頭が俺の胸くらいだな」
「年の差計算するのが面倒で押し付けましたね? 411年差です」

「4問目いきますよ。えー、それぞれ第一印象を教えてください」
「魔女に見えなかった。何か小さくて綺麗な生き物に見えたな」
「また強烈な達成者が来たなぁと。ファルサス王家ってどうなってるんですか」

「段々突っ込んできました。5問目です。告白したのはどちらですか? どんなセリフでしたか?」
「どれだ。とりあえず求婚したな」
「…………」

「何かティナーシャ様がげっそりしてらっしゃいますよ。
 えーと、それを言った時のお気持ち、聞いた時のお気持ちは?」
「面白そうだったし、気に入った。他にいないと思った」
「さ、最低だ……。また馬鹿王族か、と思いました」

「7番目。……えー、書いてあるんですからね。私に怒らないでくださいね。
 ―――― ぶっちゃけ、他に一番好きな人がいたりしませんか?」
「いない。何だその質問は」
「いません。オスカー、ラザルに紙屑投げないでくださいよ」

「いつも投げられているのに避けられたためしがないんですが……。
 8問目。お二人の性格で好きなところはどこですか?」
「色々だな。頑固なところとか強いところとか、子供みたいなところとか」
「貴方に子供みたいって言われると非常に遺憾です。
 強くあることを選ぶところが好きですよ。人に優しくできるところも」

「9問目。ちょっと離れてから聞いていいですか。
 彼、彼女の性格で嫌いなところはどこですか?」
「逃げるなラザル。嫌いなところは特にない。強いて言えば独断専行の気があるところ」
「無謀なところです」

「や、やっと10問目です。
 彼、彼女の外見(仕草や癖を含め)で好き嫌いはありますか?」
「外見は申し分ないな。あまり子供の姿だと食指が動かないが」
「貴方の回答は聞かなかったことにさせてください。目の色が好きですね。嫌いなところは特にない」

「11問目! お互いの理想には近いですか、遠いですか?」
「理想、と言えば理想だな。そう言われて考えてみれば」
「他に恋愛対象として見た人間がいないので。理想もないですが、この人に不満もないです」

「12問目になります。お付き合いはどのくらい続いていますか?」
「結婚して2ヶ月。だがまあ長いな。実際のところは」
「メタな答え方しないでください。約1年半ですね。現在」

「13問目。初デートはどこでしたか? どうでした?」
「どこだ? 私事で出歩くことなんてほとんどないからな。まぁこれと一緒なら楽しい」
「進んで揉め事に首をつっこむのはやめてください、といつも思っています」

「14問目。こういうことを聞いていいんでしょうか。
 ―――― 初キスはどこでですか? どうでした?」
「この回では初めてルクレツィアに会った帰り、ということになっている。何か腹立たしいことを言われたな」
「さりげにメタですね。別にどうも思いませんでした」
「…………」

「やっと半分まできましたよ!
 えー……ぶっちゃけどこまで行ってますか? …………こんなこと主君に聞いていいんでしょうか」
「結婚している。体のどこに黒子があるかくらいは知ってるな」
「それ外で言ったらふっとばしますからね」

「じゅ、16問目。一番心に残っているプレゼントは何ですか?」
「空を映した水晶をもらったな。あれは綺麗だった」
「ドレスを作ってもらったことですか? 死ぬほど採寸されました」

「17問目になります。恋愛と結婚は同じ線の上にありますか?」
「ない。王族は立場があるからな」
「ないです。魔女ですし」

「18問目。えー、聞くだけです。お二人の結婚はいつ頃がベストだと思いますか?」
「してる。もっと早くてもよかった」
「本当に結婚してよかったのだろうかと、今でも思います」

「19問目ですね。子供は男女何人欲しいですか? お世継ぎなんで頑張ってください」
「お前がそういうことを言うと意外に感じる。男女どちらも欲しいな。人数は問わない」
「そんな凄い魔力の持ち主になりそうな人間を何人も生むと外交問題になりそうなんですが……」

「2/3まできました! お互いのプライベートは守られていますか?」
「そもそも俺の生活自体にそういうものはないぞ。こいつといる時くらいだ」
「私は守られてます。自由にさせてもらってますよ」

「21問目になりました。どんな喧嘩をしますか? 喧嘩をしたらどうしますか?」
「城が壊れるから出来れば喧嘩はしたくない。俺に非があるなら謝る」
「貴方だけ攻撃しますから平気です。私が悪かったら謝りますよ」

「22問目。彼、彼女はモテますか?」
「もてるな。あまり外に出したくない」
「私がどれだけ他国の女性に嫉妬の影口を叩かれてるか、聞かせてさしあげたいです」

「23問目。際どくなってきたので帰りたいです。
 ―――― どこからが浮気だと思いますか?」
「気持ちが傾いたらだな」
「ですね」

「えー24問目……浮気をされたらどうしますか?」
「しないからどうもしない。もし本当に別の男が好きになったら放してやるさ」
「別にどうも思いません。この人の自由じゃないですか」
「……それはそれで傷つくんだが」

「25問目、と。別れを考えたことはありますか?」
「ない」
「あります。ないって言い切れる貴方がすごいですよ」
「当然」

「では26問目ですね。死に別れてしまったらどうしますか?」
「俺のが先に死ぬ予定だからな。国を頼むぞ」
「うわぁ。国の見通しが立ったら後を追います」

「27問目! 生まれ変わっても一緒になりたいですか? って死んだら人の魂って四散するんですよね」
「らしいな。可能なら一緒になりたいが」
「皆が四散して溶け合うんですよ。世界は魂の海みたいなものです」
「ティナーシャ、質問に答えていない」
「あれ? 私にはこの人の他に選択肢はないです」

「28問目。もう少しですね。何か一つ思い出を語ってください」
「一度魔法湖絡みでいなくなられた後に取り戻せた時はほっとした。あんまり一人で行動しないでくれ」
「たかだが20歳の人間に敗北したことが……私の400年間って何だったんでしょう」
「何でお前はそんな思い出なんだ!」

「29問目。私がここにいたままこういうことを言うのはあれなのですが。
 お互いに、愛をささやいてください」
「ん。愛してるぞ」
「……さらっと言われると咄嗟に反応できませんね。愛してますよ」

「これで終わりです。お二方ともありがとうございました。
 えー、最後まで読んでくださった方にひとことどうぞ」
「結構長かったろう。付き合ってもらってすまん。今後も縁があればよろしく頼む」
「ありがとうございました。またよろしくお願いいたします」

Act.2終了後 ファルサス暦527年 ファルサス城、王の執務室にて
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